通常、三味線の皮は「猫」か「犬」
たまに「羊」や「カンガルー」。
その中でも・・・・
津軽三味線は「犬の皮」が主流で、
大きな音量を出したり、
津軽三味線独特の奏法「叩き」もあるので、
猫の皮よりも強く張るには強度も必要だからだそうです。
他にも諸説あるとおもいますが、
その辺の話は、専門家にお任せするとして、
最近は『動物愛護』の観点と、気温や湿度の変化で
ほとんど破けない『人工皮』も注目されています。
で・・・ちょっと聞いた話なんですが、
やっぱり心情として、ねこちゃんや、
わんちゃんを家族の一員として可愛がる方にとって、
正直、きっと、ヒキますよね・・・。
「なんて、残酷なことするの?」って。
三味線愛好家を「敵」として見て、
皮の事を知るや怒り出す方もいたとか・・・。
その方の気持ちも解ります。
自分も、ねこちゃん、わんちゃん好きですし、
実際、我が家にもいましたから・・。
そのうえで・・・
気温や湿度で変化する三味線の
皮の『ダキ』(毛穴)を見るたびに、
「あぁ生き物だなぁ」といつも感じるんですね。
いっぱい練習した後は乾いた良い音鳴らしますし、
暫く放っておくと、籠った様な音になるんです。
結構、気分屋なんです。三味線って。
つまり、本体の棹の木もそうですけど、
皮が「呼吸」をしているんですね。
(三味線の皮: 表面の毛穴が気温、湿度で変化し音色も変わる。限界が来ると破ける)
だから、なるべく永く大事に扱おう、と
汗や水分を毎回、演奏中、演奏後に拭き取ったり、
晴れた日には、ケースから出して新鮮な
空気を吸わせてあげたり、皮が汚れれば、
消しゴムでゴシゴシ落としてあげたり・・・。
雑に扱うと無言で機嫌を損ねるんです。
日本は古来から『頂きます』という挨拶があります。
その意味は、お肉や魚、お米や野菜など
「命」あるものに対して、
「あなたのお命を私の命にさせて頂きます」という
感謝の言葉なんだそうです。
ある国では、牛肉や豚肉と同じ様に今も食用として扱われ、
本来、廃棄されるところを、日本人は三味線の皮として
多くの人に感動や日本の伝統を届ける為の相棒として、
猫ちゃん、わんちゃんの皮を『頂いている』としたら・・・。
相棒として敢えて使う事も『動物愛護』だと想うのです。
そんなワケ(?)でもし、今の皮が破けたら、次は
素人にとっては、人工皮が良いのか、それとも日本古来の
精神で「有り難く頂きます」と天然皮にするか、
いずれにしても、
三味線を見るたびに悩ましくなるのです・・・。
今日も良い1日を!
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