《津軽三味線》カンベリの落とし穴

目安時間:約 8分

 

津軽三味線の稽古での宿命「カンベリ」

中古三味線では宿命とも言える、
要メンテ箇所の1つ。

 

今回、メンテに出したら衝撃の事実が・・・

 

どうしても、三味線の木は演奏を続けると、
毎回、必ず押さえるツボ(勘所)の場所の木が
木目の節に沿う感じでガタガタに
摩耗して来るんです・・。

 

 

お気に入りの靴ほど、カカトなどの
靴底が減ってくる、そんな感じです。

 

 

津軽三味線を中古で買うときの落とし穴

 

 

津軽三味線に限らず、なのですが、
特に「掻き回し」という独特の演奏法と
奏者の技術の「見せ場」があるのですが、

 

 

かなり激しく、長く動作を繰り返すので
間違いなく津軽三味線に負担がかかるのが、
「三と四のツボ」あたり。

 

 

このツボは、津軽民謡では必ず使う様な、
ポジションなのでガタガタになっていることが
多いんです。(他は六、九、十二のツボ辺り)

 

 

「ガタガタ」と言っても厄介なのが見た目や、
素人演奏には差し支えの無い感じだったりして、
私も、最初は全く気が付きませんでした。

 

 

稽古して来て使うツボの加減が分かってくると
見た目的に氣になってくるそんな感じなんです。
(私は分かりませんがプロに言わせると音色が酷いそうです)

 

 

オークションでは、画像の加減次第で、
判断が付きにくく、カンベリ判断の基準も
個人差が激しく説明文もアテになりません。

 

 

画像ではただの木目なのか、
カンベリしているのか・・意外と落とし穴です。

 

 

 

今回は「端の調整」で入庫したのに・・

 

 

なので、落札しても、カンベリ直しは
修理前提で考えておいた方が無難なのですが、
今回、購入した時点では、問題を感じませんでした。

 

 

他に厄介なのが「端の調整」が狂ってる場合。
これは、画像で見た感じである程度は
覚悟していましたが、簡単に言えば、

 

 

「弦高が高い」状態で思った以上に
撥は引っかかるわ、大きく叩かないといけないわ、で

 

 

めっちゃ、なんか弾きにくいんです。
高いツボの音も「チリチリ・・」じゃなく、

 

 

ピコピコピコピコ・・・笑。

 

 

 

 

ツボが高くなるほど、おもちゃ的な音に。

サブ機なので弦高は我慢出来ても、

 

 

角度やら、チカラ加減を試しても
ツボの音というより、サワリも効かず
プラスチック的な音?
(津軽三味線の細い三の糸は主にナイロン製を使用)

 

 

「チリチリ・・」じゃなく「ピコピコ・・」では、
耳に耐え難く、工房へ入庫となったのです、が・・・

 

 

 

え?指版にウネリ?

 

 

メンテナンスに出さなければ、
全く分からなかった「指面のウネリ」が発覚!

 

 

カンベリ直しは必要がないと判断出来るほど、
棹面は綺麗だったので、ノーマークでした。

 

 

過去に中古の津軽三味線で「棹のねじれ」
(同じツボでも一の糸と三の糸で弦高が微妙に違い
見た目も普通で弾けるけど弾き心地が悪かった)

 

 

「反り」(端の調整含む)「カンベリ直し」は
経験してたけど「指面のウネリ」は初めて。

 

 

というのも「カンベリ直し」「端の調整」は
棹全体を研いで整えるハズなので、棹の面が
ウネウネするのは通常あり得ないんです。

 

 

念の為、特殊器具でチェックしてもらい、
「んん・・?」となり、発覚。

 

 

工房の職人さんの話によると、
素人(前の持ち主)がカンベリした部分だけ、
自分で研いで、整えてたのでは?と。

 

 

サスガに、オークションでは棹の面の
微妙なウネリは見過ごしてしまいます、というか、
判断は不可能なのではないでしょうか・・。

 

 

そんなこんなで、トチもあり、他は
比較的程度の良いサブ機だったのですが結果、
購入からメンテ費用トータルで10万円弱。

 

 

因みに、ウネウネのままでも端の調整と、
カンベリ直しをしていれば、演奏上、

 

 

特に問題が起こるほどではないけど、
人によって「弾き心地」を嫌がるそうです。

 

 

仕事の都合上、今後の為にも完調状態の音色は
知っておく必要があったのでメンテはGoしましたが、

 

 

メンテの費用を高いと取るか、安いと取るか、は
各自、ご判断くださいませ・・・・。

 

 

 

(ビフォーが無いアフター)

 

いずれにしても、工房から「ハの調整」と
「カンベリ直し」から上がってきて、

 

 

以前より棹もツルピカ、ツボも鳴るしサワリも
ギンギンに共鳴して、幸か不幸か、

 

 

私の演奏のチョンボが出来なくなりましたが、
仕事も稽古も、

再びテンションが上がるのは間違いないです!

 

 

 

今や貴重な紅木の葉と種

 

 

最後に。。

 

 

工房にあった今や、貴重な紅木の
葉っぱと種子を見せてもらいました。

 

 

まず、種子に水分を含ませ、数日。

その後、埋めてからちょっとしたサイズの
木になるのに100年もかかるそうです・・。

 

 

 

(紅木の葉と種子

 

 

ただ、土壌的に日本のその辺に埋めても
育つかは、また別の話なのですが・・。

 

しかし、恐るべし紅木・・・。

 

人生一代では木は拝めないのか!?
太棹の荒木が取れるまでいったい何年?

 

 

ますます、紅木三味線にはありがたや〜。
大事にメンテしてガシガシ使いましょう!

 

 

 

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