津軽三味線に辿り着いたのは、
日本の「建国理念」を知らない事でした。
番外編として、和楽器を通して
今まで感じた事をシェアします。
少しでも次に繋がれば幸いです。それではどうぞ!
今の日本人の多くに『軸』がないと言われるワケ
まずは、小学校の授業から
全く、音楽と無縁で関わりの無かった
自分が津軽三味線を弾いているのか?
自分自身、
今の現状を思いもよりませんでした。
かなり前の部分から話すと・・・
組織や企業は「理念」がないと、
社員やメンバーが何をどうすれば良いのか
悩んでしまい将来的に崩壊すると言われています。
例えば、同じ理由で、もし、
日本の建国理念を国民が知らないとしたら?
日本は崩壊するとも捉えることができます。
「私なんて・・・」「できるわけない・・」
「どうせ・・・」「アイツに言われたから・・・」
目標や夢、理念がないとこの様に考えがちになりやすいです。
もし、日本のみんながその様に思っていたら、
世の中はどうなるでしょう?
親日家でもある英国の歴史研究家
「アーノルド・J・トゥインビー」は、
「13歳までに自国の神話を知らない国は
例外なく滅びている」という研究結果は有名です。
海外では、聖書やタルムードなど指標となる書物を
国民は理解していますが、日本人の指標となる書物は
古事記です。自分も細かくは理解出来ていませんが、
なるほど・・と思わせる部分が多々あります。
自分は40代後半になるまで、
ま〜っったく建国理念を知りませんでした。
というか、国の理念とかの概念すら無く・・。
(ビジネスでは散々、企業理念とか言っていたのに)
日本の建国理念を普段から聞かないのは
国民には政治的活動に興味を持たせない様に
武力ではなく『教育』(プロパガンダ)で
日本の体力を削ぐための施策の1つだそうです。
(その通りになっていますよね)
簡単に言えば、
「サムライ精神撲滅キャンペーン」の
戦後100年掛けたマーケティング施策です。
この件は人によって様々な見解もあり、
これ以上は本題からズレるので割愛しますが、
同世代以下の人にも知ってもらいたく、
「日本の歴史会」的なところへも赴いていました。
しかし・・・
毎回、来る人たちは歴史オタクの決まったメンツ。
時には、登壇者の自論と解釈のぶつけ合いで、
参加者の前で言い争いになったり・・。
そこで、自分は思ったんです・・・。
「それ、なんの解決にもなりませんから・・・」
「これからどうするのか?」という今後の
日本の話は全くありませんでした。
そんなある時、サーフィンの一幕を思い出しました。
波乗りした次の日、朝イチの波へ備えるのですが、
キャンプ場で見知らぬサーファーと、
一瞬で友達になる方法があります。
それが「音楽」。ギターやウクレレなど、
大抵、誰かが持ってくるんです。酔って、
他のグループとセッションが始まります。
特に外国人だともうノリノリで。
言葉が通じなくても不思議な一体感がありました。
結局、これが世界平和だと思うんです。
(建国理念と同じ)
発表でもなく、伝えることでもなく「共有」。
その時、
日本人が日本のルーツを知るなら
楽器演奏や音楽がいいんじゃないか?
調べたら皇族に伝わる學問『帝王學』でも
和楽器(弦楽器)の修得は必須だそうです。
理由は、国民を統べるには
音楽は必要、とのことらしいです。
何気に凄くないですか?
世界唯一のエンペラーが
和楽器の演奏は必要な事なんだと。
ただし、その時、
自分にとって和楽器業界は謎だらけ。(今も)
何からどうしたら良いのかも分かりません。
さらに聴けば、伝統業界、
和楽器業界は瀕死状態だと言うじゃないですか!
一般世間に簡単には拡がりそうにありません。
そして、追い打ちを掛ける様に
『世界パンデミック』の到来・・・。
教室の閉鎖、高齢奏者の引退、イベント壊滅。
そこで、更に見えてきた様々な課題。
こりゃどうなるんだ・・・?
ここまでは「私自身の話」
内部関に係者した視点の話としては・・・
その後、運命なのか偶然なのか、
ご縁がご縁を呼び、邦楽業界関係者と
行動する事が多くなり、
遂に自分も津軽三味線を本格的に稽古を
始める事に。パンデミックと同時期です。
そこから続いて今に至っています。
業界と関わるにあたり、
自分自身も和楽器を経験しないと
話にならないと言う考えもありました。
(今ではすっかりライフスタイル)
そんななか、
日本の稽古事の基礎「所作」ありきだと、
とっつきにくいかもしれませんが、
「音楽」ありきならそうでないとも感じました。
特に戦後世代は、洋楽のロックなどの影響を受け、
音やテクニック、ファッションありきの世代。
別に昔ながらのやり方じゃないと和楽器が
出来ないわけではないと思っていて、
順序として「卵が先か鶏が先か」だと思っています。
しかし「稽古ごと」ならではの問題があるのも確か。
師弟関係がベースの日本の稽古や伝統芸能で、
「見た目」から入ってしまうと根幹「軸」の部分が
スッポリ抜け落ちる可能性が高いのです。
日本の稽古事には「守破離」という考えもあり、
そこが、洋楽器とは違う部分で、和楽器においては
「演奏ができる」というのは「枝葉」の部分。
根幹に姿勢や作法など「在り方」があります。
それを理解せずに和楽器を始めると
ギャップに悩まされることにもなります。
(そこを乗り越えるとハマるんですけど)
それが今の時代で拡大しない理由の1つかもしれません。
そのことを、まず伝えることも課題だと感じました。
慢性的な資金の厳しさ
近代のビジネス界はというと、
戦後はすっかり欧米の資本経済の波に乗り、
競争社会になり、伝統文化の業界で活動するにも
「お金」の問題は切っても切り離せない状況です。
いくら活動援助で国や文化庁が
支援してくれると言っても条件もありますし、
元手が無いと何もできません。
まして、必ず支援される保証もありません。
今後、後継者が居なくなり活動の場や
世界情勢の変動で予算枠も
渋くなっていく事も考えられます。
(そもそも役人で危機感を持つ人がどれだけいるのか?)
長期的な視点で考えれば、支援に頼らず、
結局、自分達で資金を生み出す必要性があり
ビジネスマン的なセンスも必須になります。
お金のマインドブロック
そんな中、元々、農耕民族の日本は、
物々交換やご近所同士助け合いの民族で、
古い人ほど、お金に対して
良い印象は持っていないと思うのです。
ましてや、人からお金を借りるということに
日本人は抵抗が強いと思います。
元々、固定資産を持たない放牧人種の
ユダヤ圏の人々は「お金」=「信用」でした。
お金持ちが信用できる人だったのです。
一方、島国の日本は地元コミュニティを作り
「人との関わり」で信頼関係を築いてきました。
地主が信用できる人でした。
そのお陰で日本人にとって、今の
「資本主義」的な仕組みは潜在意識的に
お金に対して意識のギャップもあると思います。
お世話になったら、現金でなくお歳暮などの
「物品」や「奉仕」でお礼するのが無意識的に
身についているんじゃないかと思います。
お金は欲しい・・・けど、
「お金を稼ぐ」=「腹黒い人」と思われたくない。
そんな葛藤をもつ人も多いかもしれません。
(お金の使い方が重要)
実は、昔は自分もその考えの1人でした。
しかし、今の時代の日本人に合わせて言い換えれば、
「お金」=「有難うの対価」です。
例えばどんな業界でもプロが技術や知識を
「無料」で提供するということは、
あなたのその価値は¥0と同じ。
(あとで回収見込みがある場合は別です。)
そこへ至るまでの、時間、費用、苦労を
逆算したらあなたの価値は¥0ではないと思います。
本来、本当に応援するなら対価は支払うべきだし
対価以上の価値を提供すればwin-winなはずです。
また収益があることで、スタッフを雇う事もできますし、
機材を充実、拡大する事もできます。
自然とクオリティの高い舞台が出来上がり
経済(お金)が回りだすことで新たな動きがでます。
そしてクオリティが高ければ
「また行きたい!」とも思ってくれます。
もしかしたら「あの舞台に立ちたい!」という
後継者も現れるかもしれません。
いずれにしても、それで、
お互いが満足できればハッピーです。
無料だと関係者も人によっては
「無報酬だしね・・」と
遅刻するなど適当になったりもします。
(実際、やられたことがありますが周りに迷惑)
また「無料ですら価値がない」とお客様に
判断されてしまったら次回の来場はありません。
たとえ無料イベントでも
お客様にとっては交通費と時間を使っているという
意識を忘れがちなので注意が必要です。
またお客様側にも言えることで、
「無料だし次回でいいか」と申し込んでおきながら、
平気でドタキャンしたりし始めます。
なので前払い制はドタキャンを防ぐ意味もあります。
また毎回、無料公演が当たり前になると、
有料化した瞬間、来なくなりがちだったりします。
これでは、業界としても双方が悪循環です。
ステージに立ってしまえば、
一般人から見ればプロもアマも同じ業界人。
また、プロとアマの棲み分けが
曖昧なのも業界の課題かもしれません。
因みに「プロの定義」ですが法律的には
明確な決まりはありません。しかし、
ビジネス的な視点で言うと、報酬などで
「報酬のやり取り」「入場料」が発生した時点で
経験がどうであれプロだと思いますし、
自分自身の行動に責任が生じると思っています。
ガッカリな出来事・・・・
あるビジネス交流会での事です。
海外の奏者が和楽器発展の為、
普及活動をしていると聞きました。
外国人が
和楽器の普及に尽力してくれるなんて
嬉しいことではありませんか。
「お互いで何かできるんじゃないの?」と
その紹介者から言われ、
縁を繋いでもらう手はずでしたが、
やはり、というか・・・
その奏者の関係者から、
「外部関係者との協業接触は禁止」
だそうですみません・・と連絡がきました。
(なんのこっちゃ)
「和楽器を拡めたい」
「伝統が消える」と言っていて、
「しがらみ」と言う「伝統」が
チャンスを潰した瞬間・・・。
ちょっと、悲しい出来事でした。
(単に自分と絡みたくなかっただけかもw)
「和楽器でも生活ができるんだね」
「和楽器作りをしてみたい!」
その様に世間の人から言われて
その受け皿をもっていたなら、
日本の伝統文化継承も安泰かもしれません。
(言うほど簡単じゃないですけど・・・)
外部の視点からみた和楽器の世界
またある時は、三味線経験者なのに入門的な
「簡易三味線」を購入された方の話。
三味線経験者なのに、
「なぜ、これを買ってくれたのですか?」と
お客様へリサーチしたことがありました。
詳細は省きますが、
ざっくり言えば稽古以外の出費も含めた
「しきたり」がうんざりなんだと。
「曲が弾ければ良いので辞めた」という
意見も何人かありました。
ある意味、問題解決策のヒントです。
また、お客様やクライアントさんと出会ってきた限り、
未経験で和楽器に興味がある人は結構います。
ただ、外部から見てどう接したらいいのか、
全くわからない、読めない世界なんだそうです。
そう聞くとその点、自分は、和楽器初心者ながら
環境に恵まれているかもしれません。
とはいえ、難しいことは何もやってなくて、
和楽器に一歩、踏み出しただけです。
ぜひ、和楽器をやっている人を見つけたら
気軽に声をかけてみてはどうでしょうか。
幸か不幸か、この業界は狭いので、
声を掛けたら実はすごい有名なお師匠さんだった・・
ということは多々あったりしますw
そんな、出逢いもこの世界は面白いところです。
異業種から仕事としてみた和楽器業界
ここから和楽器の実践者としてでなく、
本業の視点からみた話になりますが、
「演奏すること」または多くの人に
「聞いてもらうこと」が重点になっていて
もっと深い部分が抜けている印象がします。
深い部分とは、
例えば演奏する曲の歴史的な背景、考え方など、
何故、こうなるのかなどのルーツ的な解釈を
伝える機会というか、仕組みがないというか・・。
また、『自分達の活動を拡めたいのか』と
『和楽器や業界を拡めたいのか』では、
前者はブランディング、後者は公的活動、
マーケティング的なアプローチと考え方、
関わるべき所が全く違ってきます。
それと、藝大とか音大的な、
専門学校というか、一般の社会人がもっと
気楽に入れる専門機関が無いというか・・。
演奏の稽古場はたくさんあるけど、
座学までやるところは皆無。
ある、お客様の印象的な意見では、
・興味はあるけど、予備知識がないので
見ても意味が良くわからなかった。
・関係者同士で楽しんでいる様にも見える。
と言われた事がとても記憶に残っています。
例えば津軽三味線をしている自分は
民謡がルーツですが、大会で聴いていても
面白くも何ともありませんでした。
出演者同士で盛り上がっていて
何も知らない自分は幼少の時、テレビで見た
「のど自慢大会」にしか見えないのです。
そう言った意味では、上記のお客様の
見解と同じなのかもしれません。
しかし、民謡の(地元)歴史的背景や
唄付け伴奏の概念を知ったことで
民謡の見方がガラッと変わりましたし、
唄付け伴奏の奥深さも理解できました。
誰も教えてくれない(説明できない)ので
書籍やネットを漁り、実際に会場へ行き、
津軽三味線を稽古している自分でさえ、
面白さに気付くまで2年ほど掛かりました。
もっと、唄や演奏以外の「根幹」を
学べる環境があれば良いのに・・と思います。
ここをクリアできたら、オーディエンスも
ある程度、基本知識を持った状態で、
アプローチができるので演奏会などの集客も、
もっとラクになるんじゃないかと感じました。
(集客に専門用語とか使えるので相手に伝わりやすい)
やった人しか知らない和楽器のヒミツ
「やった人にしか知ることができないヒミツ」が
あるのも和楽器の魅力ですが、
演奏だけでなくこの部分を
言語化して伝える必要だと感じます。
私の業界の専門用語でいうと
『ベネフィット』と言います。
また「和楽器が演奏できる」という
「優越感」もきっとあると思います。
この優越感は感情的な
『ベネフィット』の1つです。
鼓の稽古で、能舞台で発表会というのは
まさに「優越感」ではないでしょうか。
この部分をくすぐると、
もっと活性化できるんじゃないかと
思っています。
和楽器業界に限らず、日本伝統文化は
「道」であり修行とも似た側面もある為、
簡単ではないですが、逆手に取れば、
意外と可能性はあると思っています。
Z世代社長から言われた一言
これは、セールスコピーライターとして、
クライアントの商品やサービスを売る時の
リサーチによる実体験です。
今は世界中から集まる
色んな情報や趣味があるなか、
昔ながらの信頼関係や
口づてだけでは裾野拡大には限界があり、
システム環境も必要だと思います。
一説では、現代人が1日で得る情報量は
江戸時代の3年分に相当するそうです。
ひと昔までは、CM、新聞、TVなどから
広告宣伝による情報収集が主流でした。
発信すれば当たる可能性があった時代です。
今は、購入者が自分から興味ある事を
下調べして情報を取りに行くスタイルで、
基本、発信元の情報は過信せず、
とりあえずなんでも・・というのがありません。
なので体験でも購入でも共感を「共有」した
人の情報を信用する傾向があります。
なので、提供側も共有できる「協力者」が
多いほど有利な時代です。
それを踏まえ、和楽器関係者の何人かに聞きました。
良い事なんですが「何でも自分達だけでやる」という
印象があって、でも限界を感じていたんです。
なので「他の企業とは協業しないんですか?」と
質問をしたことがありました。
「資本力があると乗っ取られる可能性もあるから
一緒にはやりたくないんだよね・・」と。
確かにそれも1理はありますが、
マネージメントの問題で
条件の提示次第だと思っています。
こんな情勢なので不安も察しますが、
その不安が原因で伝統が消えては
もともこもありません・・・。
今は大企業もライバル会社と提携しながら
会社を存続させている様な時代です。
ある程度、周りを見て時代に合わせた方法へ
シフトしないとそれこそ、海外資本などに、
つけ込まれて乗っ取られてしまいかねません。
この事に気づいている人達は、
積極的に他流派との共同企画、
洋楽出身者と共演、異業種とのコラボや、
IT技術を活用したり、
日本より自由に活動ができ、
経済も回る海外へ進出しています。
先日は、和楽器や伝統文化を残すなら
「今の」日本文化を作らないとダメでしょ!と
まさに「Z世代」の社長に言われましたw
また、経済界では特にパンデミック以降、
『先が見通せない時代』になったといいます。
ネガティヴな意味でなく、
【未来志向】の時代に変化したと言うことらしいです。
今までは、海外製品や既製品を改良、改造して、
「ジャパンオリジナル」な製品を産み出して
経済が活性してきましたが、これからは、
「なりたいゴール」から逆算して
イメージを実現化できるか、が焦点。
今、伝統的な要素は残しつつ、新たな
「ムーヴメント」が必要ということです。
それでもし、
興味を示せばシメたもの・・・。
業界拡大の起爆剤になるかもしれません。
まとめ
いずれにしても、これからもできる範囲で
活動を続けますが、正直1人では限界があります。
もしオファーがあれば喜んでお手伝いさせて頂きますので
お話だけでもお気軽にお声がけくださいね。
以上、説明しきれていない部分も多々ありますが、
ここ数年間、実体験を通して
自分なりに導きだした『動的分析』結果です。
最後に、チューナーが内蔵されていたり、
ハイブリッド素材の和楽器ができたり、
合皮のクオリティも年々、アップしてきたり、
プロダクトの進化は徐々にしてきていると思います。
ただ昔からの拘りを捨てて、新しいモノを
「受け入れる」事ができるのか?
これも1つの課題ではないでしょうか。
「地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ」 五代友厚