《津軽三味線》チタンで三味線の駒を作ってみた。

目安時間:約 11分

なんで今時、コレ?
という場面が多い和楽器の世界。

そこで『チタン製の駒』を作ってみた。

良くも悪くもガラパゴスな三味線

​
​中国から沖縄へ沖縄の「三線」が「三味線」として
庶民に伝わってきたのは江戸時代のこと。

 

豊臣秀吉が「よど姫」の為に職人に三味線の制作を
命じたのがキッカケで一般庶民へ拡がってから
400年以上経っても材料や基本設計は当時のまま、

​
未だに「鼈甲」「象牙」「動物の皮」「木材」「金」
などを使いながら、工具が電動化したとはいえ、
最後の手仕上げもそのままです。

​
工作精度は今の方が精密だとは思いますけど、
今の時代、もっと良い素材とか形とか材料が
あるんじゃなかろうか・・・という単純な好奇心で
今回、「チタン製の三味線駒」を発注。
​
​

そもそも、三味線の「駒」って何?

​
馴染みのない方へ説明すると三味線の音は、
糸の振動を駒を通して胴の皮へ伝えて音量を増幅させます。

 

その過程の中で三味線の木材のクセや、胴の皮の種類や
張り具合、糸の素材と太さ、そして駒の素材、サイズ、
種類でその三味線奏者の音色が決まってくるんです。

 

 

ある意味、その楽器の持ち主次第で音色が変わるのが
三味線。天地人、三味一体となると音が出る楽器、
そんな、感じです。(どんな感じよ)

 

 

前後の装着位置でも音色は変わる

​
コレだけ三味線には音色の「不確定要素」が沢山あるので、
本体に大きな変更が無かったのかもしれませんね。

​
その駒にも演奏ジャンルごとに細かく違いがありますが、
自分のは津軽三味線なので、津軽三味線を基準に
話を進めていきます。

​
津軽三味線は一の糸を叩くとき「どってんさせる」と
言う言葉があるくらい大きな音量と迫力の演奏が魅力。

 

元々は民謡の伴奏楽器で伝統系の三味線とは違い、
旅芸人や「門付け」などで定着したジャンルなので、
故にパフォーマンス的な要素も沢山あります。

 

今風に言えば、
「ストリートカルチャー」がルーツなのか?!

​
なので使う「駒」は胴皮を叩きやすくするため高さも低め。
「素材が堅くパンチのある音が出る」「速弾きがしやすい」
「見た目」も大事、という要素もあったりします。

​
因みに他の三味線ジャンル、伝統芸能系の長唄などは、
津軽みたいに「速弾き」とか「バンバン叩く」演奏法ではなく、
おっとり、しっとり、糸を弾く演奏法なので、

 

駒の高さも高く、素材もどっしりした象牙製や鉛を
埋め込んで敢えて「響かない」様にしていたり。

​
舞台の伴奏で津軽三味線みたいな主張の強い音だと
色々と不都合なことが多いからなのかな・・しらんけど。

​
いずれにしても、小さい脇役的なパーツなんですが、
結構、演奏や音色に影響するので重要な役割をしています。
​
​

なんで、チタン製で作った?

 

 

答えから言えば「興味本位」です。
元も子もありませんが・・・。

 

たまたま、あるイベントでサンプルで置いてあったのを
借りて自分の太棹(津軽三味線)で演奏をしたところ、
自分では嫌いじゃない音色だったんですね。

​
しかも、壊れない。一生物として使える!

​
実は三味線の駒あるある・・なんですがメンテの時や
狭い楽屋でうっかり落としたりして踏んづけると
木っ端微塵になるんです・・・ホントに木っ端微塵。

​
1つ4〜5千円するので、それがお気に入りだと結構な痛手。
チタン製の駒はお気に入りので作れて、
しかも踏んでも壊れない駒!壊れるのは自分のアシ。
忍者の如く、足元に撒けば不審者も撃退できます。

 

​
と言うのは、置いておいてたまたま、それが
チタン製だった・・というハナシです。

 

鉄製でもなく、銅でもアルミでもなくチタン。
なんか、イマっぽいじゃないですか?ただそれだけです。

 

 

チタンとは?

​
元々は、イギリスの海岸から「未知の金属」が発見され、
その後、ドイツの学者が鉱石からチタン元素とし、
アメリカの学者が純度99.9%のチタンの抽出にも成功。

 

 

​
一般的に工業製品に使われる様になったのは、
1946年戦争終結後からなので比較的新しい材料の部類です。

 

 

 

津軽三味線に使ってみた結果・・・。

​

まず、参考までに自分の三味線の仕様から説明すると、

 

 

 

・1寸の太棹、金細、綾杉胴
・総重量、ジャスト3.0kg
・両面合皮(風音のアドバンス)
・糸は、1から浄瑠璃の中口、15-2、14-3(多分・・)

​
使ってみた答えを言えば、
結局は、アナタ次第・・・かな?

 

ぶっちゃけ「良い音って何?」が多い和楽器。
解釈の仕方で、良くも悪くもなるのが和楽器。

​
それだと「は?」と言われそうなので、
一応・・・続けます。

​
今回、作ったのは2種類。

 

 

​
肉抜きが多く華奢なデザインの『舟形』と、
定番の形の『平形』の駒。

​
《チタン舟形》
通常は竹で作られることがほとんど。
今回は「糸受け」をプラで。
犬皮で舟形駒は堅めの音だけど合皮にチタン駒だと
音の角が取れて本皮っぽい音色に。
サワリ(糸の共鳴音)も問題なし。
​
《チタン平形》
こちらも通常は竹製がほとんど。
今回「糸受け」を敢えて付けずにダイレクト載せ。
面積が舟形よりも増えるのでダイレクトの方が
振動が響くかな・・と言う予想だったけど結果、
逆だった。重さと接地面積の影響か、ボンつく。

イメージとしては教材用の津軽三味線の様な音質。
花梨棹に厚めの犬皮を張った三味線?
サワリ(糸の共鳴音)も弱め。

 

 

 

 

太棹の合皮仕様で検証した結果・・・

​
・通常の竹駒は外へ音が飛ぶ。
・チタン平形は胴の中へ音が飛ぶ。
・チタン舟形はその中間で音角が丸い。

​
数値で検証はしてないけど、明らかに違いを
感じ取ることができるのでその辺はお察しを。

​
と言う感じで「合皮」の場合だけど通常や舞台、
イベントなら遠くへ音が飛ぶ「竹駒」。

 

稽古や屋内では耳に優しい「チタン舟形」。
「チタン平形」は総合的には微妙でした。

 

 

 

データが乏しく、想像の域を出ないけど、
華奢なデザインの駒の方が
『合皮✖️チタン駒』は良さげ。

 

 

そこまでして、採用するかは別問題だけど、
マイクを通してステージパフォーマンスとか、
イベント用として使うのは頑丈だし、
ビジュアルとしてならアリかも?!

 

 

奇抜なデザインで作ったり・・。

 

 

 

まとめ

​
​
因みにこちらの『チタン製の駒』は、
通常の駒なら3つ、4つ買える位のコストも掛かるし、
諸事情もあり、一般販売はしていませんが、

(自分が製作してるわけじゃないので・・)

​
もし「どうしてもほしいっ!」という
奇特な方はご相談下さい。

​
値は張りますがその代わり、
一生モンとして使用ができます。
(あなたが一生使うかどうかはしらんけど)
​
​
伝統的な見方からすると、金属加工部品を三味線に
使うのは『異素材感』に抵抗があるかもしれません。

 

 

とはいえ、チタンも宇宙から誕生した鉱物。
突き詰めれば、自然由来(宇宙由来?)には変わりありません。

​
特に、津軽三味線は、楽曲や奏法も含め、
時代ごとに変革、進化していて、江戸時代から細棹しか
なかったのに独自にどんどん棹や糸を太くしながら、

​
民謡の伴奏楽器から独奏楽器へと昇華させ、
世界大会の開催、エレキ三味線の登場や、
また動物愛護や天然素材の枯渇問題から
合皮使用や研究、開発など・・

 

 

糸巻きやバチの素材に「アクリル」を好んで
使い始めたのも津軽三味線界隈が最初だと思います。

 

 

 

 

まだまだ、課題はありますが、

チタン製の三味線駒は話のネタやあなたの
「アイデンティティ」としても良いのではないでしょうか。
​
​

​
P.S.
​
しかし今回の「平形駒」・・・
イマイチ微妙なものの、安くはないので、

​
来客用「箸置き」に使うか「キーホルダー」にするか
「オブジェ」として使うかどうしようかと思案するなか、

​
何気に、毎日のルーティンで使っている
『サイレント三味線』に装着してみたら、

​
「あれ?コレ、いいんじゃない!」となった。

​
純正は四角い木材を駒として使用しています。
機能的な問題点はないのですが唯一の問題点は
「音締め」の時、指の位置のイメトレが出来なかったこと。

​
サイレント三味線に通常の「竹駒」を使うと駒自体が響く分、
若干、音量が出る様になっちゃうんですが、
コレなら普段使いと同じ形とサイズの駒で消音もしている。
部屋で演奏しながら「ねじめ」練習が出来るのは嬉しい誤算。

 

 


​
くれぐれも、踏んづけない様にしなきゃ・・・。
​
​
めでたし、めでたし。
​
​
今日も良い週末を!

 

​

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