《津軽三味線》9割独断と偏見?! 津軽三味線購入実践記 其の三

目安時間:約 12分

2020年パンデミック直前、仕事の流れで
あれよあれよ、とハマってしまった津軽三味線。
約3年間、お金と労力と時間を工面して、
体験した情報をかなり端折ってご紹介!

津軽三味線に興味あるけど、
「道具の購入は実際どうなん?・・・」
そんな人へ、ちょっとだけ公開します!

今回は3回目、あとは、実践あるのみ!



其の三


・糸あれこれ

 

乾燥剤入れて保管


【富士】
買いやすく、一般的には稽古用と言われている糸。
とはいえ、通常はコレで十分な品質で、
サイズ表記もシンプルで分かりやすいです。


【丸三】
色んなバリエーションがある。演奏会用など。
表記が独特なので慣れる必要はあるかも・・。
​テトロンは仕方ないですが、硬いので
絹と比べると棹への攻撃性は強くなります。



【ハツネ】
こちらもサイズ表記には慣れが必要。
糸の先っぽが金、銀、赤でランクが分かる。
因みに色が付いているほうが音緒側。

 

どのメーカーの糸がいいのか?

 

正直、糸の違いが分かるレベルになるのは、
初心者にとっては相当、経験後の事。

 

企業ごとのノウハウはあると思いますが、

太さの種類や銘柄の組み合わせも無数にでき、
正直、正解も無いので、自分の好みがわかるまで、
まだまだ、3年程度じゃ分かりません。


ただし、
3ヶ月使った糸と、新品の糸では音色、特に
サワリのツキなどが全然、違うのは分かります。

​新品は馴染むまで調弦が狂いやすいので、
発表会の週までには交換しておく方がいいです。

普段は糸がケバだったり、スレて白くなってきたら、
糸の位置を前後へズラしたり、交換しています。

 

 

因みに、自分は標準よりワンサイズ太めを好んでいます。
1の糸 浄瑠璃の中口(28−1相当、通常25-1くらい)
​2の糸 16-2(通常15-2くらい)
​3の糸 15-3(通常13−3くらい)

 

 

理由は、単純に音量が上がるのと強度の問題です。
特に「ユリ」「スリ」の時の「唸り」が好きなのです。

難点は、気を抜くと糸の張力に弾かれスカ撥しやすいです。
細い方が演奏はしやすいです。
糸の組み合わせで次第なので正解はありません。
好みの問題です。

 


・めったに要らない撥皮だけど・・・

 


【シールタイプ】
昔ながらの撥皮もありますが、専用ノリも必要だし、
面倒だし本皮のタイプは普通の人には不要だよ、と
職人さんからアドバイスを受け納得。

6枚セット(千円)って、一生モンだな・・・
と思ったら、意外と消費してます。(貼り直しも含め)

 


・胴滑り止めシール

【ラテックスタイプ】
クッション性があって一般的なタイプ。
貼りやすく、剥がしやすいです。
貼り方をキチンとしないとダサくなります。

すり減りは早め。グリップまぁまぁ。価格安め。
カラバリも多めで一般的なタイプです。

 




【ラバータイプ】
昔ながらの生ゴム製。グリップは強め。
薄いのでなんとなく見た目がスッキリ。
粘着力も強いかもしれません。

カラバリは無し。貼り方キチンとしないと
薄い分、気泡が目立つかも?劣化すると、
生ゴムだとトロけそう。(経験してないけど)

ラテよりちょい値段高めですが、
個人的にはこちらが好き。


・音緒あれこれ


正直、サイズが合ってればどれでも良いかと。
色によっては、色褪せが目立つので、
その辺りは考える必要はあり。

少しグレードアップした正絹製の方は
糸の編み方などが違い高級感はあります。が、
持ち主以外、目立たないので違いは分かりません。



【津軽専用タイプ】
サイズデカ目の津軽専用。ゴツい!
胴との見た目のバランスもGOOD!

5分大胴と相性は良いですが、その代わり、
糸を固定する輪っかも大きくなる為、
糸の間隔が拡がり気味になるのが気になる。

 

駒の糸道で間隔は矯正されるのですが、
駒の糸道の深さが浅目だったりすると、
糸が駒から外れやすくなるかも?!

 




【地唄・津軽用】(画像は正絹タイプ)

一般的な見た目とサイズで糸の収まりも良好です。
津軽専用のサイズに目が慣れると小振りに見えます。
画像は津軽専用ではなく「​津軽・地唄」兼用サイズですが、
予算と見た目でどちらを選ぶか決めて良いと思います。

 


 

 

音緒駒 あれこれ

これも賛否両論があるパーツですね。
音質の向上を謳う人もいますが、
そもそも、音質向上の基準が不明なので
なんともいえません。

 

ただ、感覚値ですが、ネオ駒の厚みと駒の素材で
良くも悪くもサワリの雑音が弱くなる気がします。
​糸から胴への振動の伝わり方が変わるのかもしれません。

 

 

普段から騒々しいと感じているなら落ち着くので
良い音になったと思うかもしれませんし、

 

 

サワリがガンガン響いた方が好きな人には
落ち着いた分、音が悪くなった、と感じるかもしれません。

 

 

 

つまり皮の状態や、サワリの具合にも好みや
個人差があるのでなんとも言えません。となります。

 

 

個人的には
「胴皮プロテクター」として使用しているので
あまり気にしてはいませんが、
もし気になる方は、以下、参考にお試しあれ!

【プラ製鼈甲風】
価格は安くて見た目も良し。厚みは薄めです。
プラなので本鼈甲製よりはキズや糸道も出来やすい。
ただ使用上はこれで十分だと思います。
サワリの響きが欲しい人なので
自分は、結局、コレに落ち着いてます。

 

 

【本鼈甲の音緒駒】
意外と高価の割に無くしやすいのが難点。厚め。
プラ製と比べ、サワリ付きが弱くなる気が?
見た目の高級感あり。スレの耐久性もあり。



【本象牙の音緒駒】
鼈甲より更に高価で白色の為、目立たず、
無くしやすいのが難点。サワリ付きも鼈甲と同じ感じ。

さりげなく音緒駒を使いたい人は良いと思います。
そして、2ヶ月後にやっぱり無くしました・・・。

・メンテナンス用品あれこれ

 

 

 



【椿油】
100%天然油脂です。
椿油も純度100%って意外と限られますね。

職人さん曰く、半年〜年に1回くらい、
ほんのり薄く棹に塗り込んでやると
艶出しと木の乾燥割れ防止になるそうです。

 

お肌も乾燥したら割れますもんね・・・
棹にも潤いを・・ってことでしょうか?
塗りすぎるとヌメヌメになり、
収集つかずヤバいですw 注意。

 

 


【紅木クリーナー】
ウエブで見つけた紅木専用クリーナー。
手垢落としとツヤ出しになる半練りタイプ。
臭いからして恐らく石油系のコンパウンド?

車の半練りワックス「ソフト99」的な印象です。
原料の詳細は不明ですが、頻繁に使わない方が
良いと思います。漆?も取れてしまう印象です。
(拭き取った布が赤くなるので)

 

年に1回の大掃除的なタイミングが良いかと。
一応、棹がスベスベにはなるので、
気持ち的にリフレッシュできます。

 

今は主にバチ磨きにも使ってたりします。

必携ではないですので購入はお好みで。



【カルナバ蝋】
天然由来のワックス。車の世界では
最高級品の素材ですが、

三味線の艶出し保護にも業界の一部では
使っているそうです。が・・。
素人には硬く逆に塗りムラになり微妙です。

 

車のワックスの感覚とは違うので要注意。

 

 

職人さん曰く、塗り方もコツがあるらしく、
木目のスジに入り込むと白く目立つし、
通常は椿油で十分とのこと。(椿油も一般的じゃないけど)

 

これも必携ではないので購入はお好みで。



まとめ

 

伝統だから・・と言われると困りますが、
昔は存在しなかった素材が、今はあったりします。
三味線に限らず、いままでは最高級だった物が
現代ではそうではない、という可能性も多々あります。

 

 

例えば高価な桐素材・・・
確かに昔から日本では湿気に良いと言われていますよね。
ただし、エアコンも湿気取りシートも無い時代なら・・・。

 

 

今の時代、多くの家にはエアコンがありますよね。
撥水性を兼ね備えたクッション性のあるケースに
湿気取りを入れておけば良いと思います。

とはいえ、それぞれの好みで良いと思います。

なぜなら、桐ケースには独特なオーラもあります。

 

 

もし、それでモチベーションもアガるなら、
それがその人にとっての価値であり正解です。

 

そもそも、日本の伝統文化は「感じ取る」ことを
大切にしているので定義が曖昧で正解もありません。
自分で判断して、自分で探求して見つける必要があります。

 

 

日本の「道」は。


それが今後の自身のスタイルにもなるので、
最後はご自身の直感で決めて良いと思います。
(元も子もないな・・・)

 



其の四へ続く・・・。

 

 

・津軽三味線購入の研究材料として次へ繋げる為であり、
 転売を推奨する記事ではありません。
・これらの見解には諸説あり感じ方に個人差もございます。
・今後の経験値により見解が変わる場合があります。
・記事を参考にされて損害が生じても一切、責任は負いません。
 ご自身のライフスタイルはご自身の責任によって得られるものです。
・画像その他、無断転載、使用を固く禁じます。

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